第39章 覚醒するモジュレーション【壊玉】
「……星也……?」
肩で浅く息を繰り返しながら目を開けた星良に、星也は涙を流し、抱きしめた。
「……よかった、間に合って……星良ちゃんが死んだら、僕は……」
あと少し遅かったら、手遅れになっていたかもしれない。そう考えると、恐ろしくてたまらなかった。
「くろ、い……さん……は……?」
姉の問いに何も答えられずにいると、沈黙から全てを察し、星良は身体を震わせた。
「…………そ、か……あたし……なんにも、守れ……な……」
そこまで呟いて、姉は気を失う。
「星良ちゃん? 星良ちゃ……⁉︎」
息はしている。傷も治した……血を流しすぎたことと、急激な呪力消費による反動。
ホッと安堵の息を吐き、星也は夜蛾へ連絡した。
【星漿体】を高専へ連れ帰ったこと、その際に正体不明の男に襲われたこと。そして、【薨星宮】に侵入者がいること。
一時的とはいえ、蠅頭が高専内に溢れたことは知っているはず。異常事態により事実確認が行われている最中だろうが……こちらも緊急だ。
もし男がまだ【薨星宮】にいるのなら、夏油と交戦中の可能性が高い。
逆に星也と入れ違いで【薨星宮】を出ていれば、理子を攫われたか……最悪の場合 殺害されているだろう。
懸賞金の条件も『生死問わず』。
依頼自体、命の保証はされていない。
黒井の遺体を整え、胸の上で手を組ませる。その隣に、壁へ背を預ける形で星良を座らせた。