第38章 襲いくる黒きヴィオレント【壊玉】
「星也。オマエ、この数の蠅頭 一掃できるか?」
「無茶言わないで下さい――と言いたいところですが、請け負います」
「上等。終わったら念のため天内のとこに行け」
すでにこの場から立ち去っている可能性もあるが――そこを考えている時間はない。
「分かりました。お気をつけて」
「それはオマエの方だろ」
星也はすぐに【青龍】を呼び出し、上空へ飛んだ。
高専を取り囲むようにして蠅頭が飛んでいるのが空の上からでも分かる。どれだけの数を飼っていたんだ。
星也は静かに刀印を結び、宙に指を走らせた。
「【朱雀・玄武・白虎・勾陣・帝台・文王・三台・玉女・青龍】」
四縦五横に格子を描き、さらに印を結び変える。
「【青龍避万兵(せいりゅうひまんぺい)・白虎避不祥(びゃっこひふしょう)・朱雀避口舌(すざくひこうぜつ)、玄武避万鬼(げんぶひばんき)・黄龍避繋縛(こうりゅうひけいばく)・前後扶翼(ぜんごふよく)――急々如律令】!」
高専の敷地に巨大な五芒星が光を放ち、ザァ…と音を立てて、無数の蠅頭は次第に消えていった。
* * *