第37章 ブリランテに照りつける太陽【壊玉】
「星也! こっちじゃ‼︎」
理子に手を引かれ、星也は目が回りそうだった。あっちの物が気になる。そっちの店も面白そう。
そうやって行ったり来たり――……海水浴を切り上げ、五人は沖縄を満喫した。
「星也、これはどうじゃ!」
「遠慮します」
出店のラックにかかっていた派手な柄のシャツを当てられ、即行で断る。
「僕はいいので、理子さまの物を見た方がいいんじゃないですか? あちらのアクセサリーとか」
「アクセサリー……」
隣のワゴンに並ぶブレスレットやネックレス、イヤリングや指輪に理子が目を輝かせた。
目に留まったのか、気になったのか。珊瑚のブレスレットに触れようとして、理子はすぐに手を引く。
「じゃが、妾は……」
明日には同化し、親しい者たちと別れ、自分ではない存在とならなければならない。おそらく、記憶も消えるのだろう。
星也は彼女の触れようとしたブレスレットを手に取った。
「別にいいじゃないですか。思い出を持って行くことができなくても、今が楽しければそれで。充分 対価を払う価値があります」
「ま、待て。妾は金など……」
「いいですよ、僕が買いますから。術師として給金をもらっていますから、これくらいは……」
給金以前に、神ノ原一門の財産も受け継いでいる。値段を確認したが、高いとも安いとも思わなかった。