第37章 ブリランテに照りつける太陽【壊玉】
「おい、星也っ‼」
「何です――……がっ⁉」
五条の投げたナマコが星也の顔面にクリーンヒットした。それを見て、五条は腹を抱えて笑う。その様子に、星也がぶち切れたのだと遠目からでも分かった。
「――……【謹請現示 天后】」
グワァッとサメやシャチに似た式神が五条に牙を剥く――だが、その牙は五条の【無下限呪術】によって届かない。
「なんだよ、戦(や)ろうってか?」
「いい加減 大人気(おとなげ)ないと思わないんですか?」
「悪いな。世間的には俺もまだガキだ」
ちっ、と星也が珍しく小さな舌打ちをして、【天后】へ指示を出す。
「お、おい! 止めるのじゃ‼︎ 星也、冷静になれ! 五条、そなたもそれ以上 挑発するな‼︎」
やがて、騒ぎに駆けつけた夏油に大目玉を食らい、大人しく海を楽しむことにした。星也はまた日陰に戻ろうとするため、無理やり引っ張って海に沈める。
楽しい時間はあっという間に過ぎ、帰る予定の時刻はすぐにやってきた。
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