第37章 ブリランテに照りつける太陽【壊玉】
「い、ぞん……?」
「星也……アイツは術師に向かねぇんだよ」
「それ、どういう意味?」
貶されたと感じたのか。眉を寄せて睨む理子に五条は続ける。
「強い弱いの話じゃねぇ。アイツは性根が優しすぎる。あんなまともな思考で、何で術師やってられるのかって思ってたけど、たぶん星良がギリギリ繋ぎ止めてんだな」
悲しいとき、辛いとき……自分の弱さを吐き出せる場所。迷ったとき、押し潰されそうなとき……励まして道を示してくれる人。それが星良なのだろう。
だから、不安なのだ。物理的にも、精神的にも、星良が自分から離れるのが。
「でも、それなら星良が……」
「星良は逆。アイツはまともに見えるけど、いい意味でイカれてる。自分の中の感情とか、その場の状況とか、折り合いをつけるのが上手い。現役の術師でも中々いねぇよ」
へぇ、と理子が感心したような声を上げる。
力に優れた星也と、精神力が強い星良。足したらすごい術師が誕生しそうだ。
どちらにしても、姉弟としてはバランスが取れているが、術師としては双方 少しずつ不足している。
そういう意味では、結局 あの二人も『双子』の影響を受けているのかもしれない。
寂しげな眼差しで理子が日陰にいる星也へ視線を向ける。それに気づき、五条はナマコを掴み、大きく振りかぶった。