第37章 ブリランテに照りつける太陽【壊玉】
「不意打ち、だったんですかね。【Q】の一件で気をつけてたつもりだったんですけど、イマイチ襲われたときの記憶が……」
首を傾げる黒井に夏油も引っかかりを覚えるも、黒井はすぐに「そういえば」と話を変えた。
「飛行機で来たんですね。大丈夫だったんですか? 襲撃とか」
「悟は目が良い。アイツが離陸前に乗客乗員 機内外をチェックして、飛行中は星也君の式神が外を警戒、私の呪霊が襲撃に備えました。下手な陸路より安全でしたよ。それより私は、沖縄を指定してきたことが気になります」
「時間稼ぎなんじゃないですか?」
「それなら、交通インフラの整っていない地方を選びます」
確かに、【盤星教】が理子を狙うのは、天元と同化させないため。殺せなくても、同化の予定日である明日の満月に間に合わなければ作戦成功。
すると、黒井がハッと焦った表情をする。
「まさか奴ら、空港を占拠する気じゃ……!」
「かもしれません。でも、大丈夫。沖縄に来たのは私たちだけじゃない。頼りになる後輩を呼びました。星良ちゃんもそちらに」
得意げな夏油の笑みに頼もしさを感じたのか、黒井も胸を撫で下ろした様子だった。
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