第37章 ブリランテに照りつける太陽【壊玉】
灰原の言う『身を粉にして頑張る先輩たち』は水着やアロハシャツに身を包み、沖縄の海で「めんそ〜れ!」とはしゃいでいた。
その様子を、夏油は一歩引いた位置で見守る。星也はどこか冷めた目をしているが、あれは姉の星良がいないことにいじけているのだろう。
「姉さんは働いているのに、なんで僕は海にいるんだ……」
星也の呟きが聞こえて、夏油は思わず小さく吹き出した。
十一時――黒井救出は星也の活躍により、秒速で終結した。正直、夏油と五条の出番はなかった。
予想通り、相手は【盤星教】の教徒たちで、ほとんどが非術師。呪詛師が一人いたが二流もいいところだった。術式を発動する間もなく、星也の式神に打ち伏せられる様は見事としかいいようがない。
七海に星良を取られて気が立っていたのか、八つ当たりをしているようにしか見えなかった。
高専の関係者に拘束した実行犯たちを引き渡し、黒井 美里拉致事件は解決。そのまま帰るのはもったいないという五条の提案で、一行は海で遊ぶこととなった。
「まさか【盤星教】信者――それも非術師にやられるとは……自分が情けない」
「不意打ちなら仕方ないですよ。私の責任でもある」
申し訳なさそうに縮こまる黒井に、夏油は慰めの言葉をかける。