第37章 ブリランテに照りつける太陽【壊玉】
「星良ちゃんの話だと、【Q】って組織は呪詛師の集団で、【盤星教】の奴らは非術師の集まりなんだね?」
空港のベンチに座り、星良はこれまでの経緯をかいつまんで七海と灰原に説明していた。
「プラスで懸賞金目当ての呪詛師も警戒する必要があります。呪詛師のレベルも分からない上に、空港占拠で来たのが【盤星教】の非術師だったら呪術も使えない。そもそも、一般人の多い中でどう戦えと? 一年に対応できる案件じゃない」
確かに、やること盛りだくさんな上に戦術の限られたハード任務。何事もなければただの待機。まぁ、警戒しておくというのはそういうことだが。
気を張り詰めすぎると疲れるし、気を抜きすぎてもダメ。力加減が難しい。
「呪詛師を探すだけならできますよ」
「え、そうなの⁉」
星良はベルトから小さい墨壺、筆を、懐から白紙の札を取り出した。
「あたしの術式は、呪力を混ぜた墨で書いた文字を具現化・実行できるんです。だから……」
――【呪詛師】、【捜索】
書きつけた呪符をピシッと飛ばすと、目の前を通過して行ったサラリーマン風の男にピタッとくっつく。
「えぇっ⁉」
思わず大きな声を出した灰原が、反射的に自分の口を塞いだ。怪訝な表情でサラリーマン風の男が振り返るも、灰原は曖昧な笑みを返した。
そのまま去って行く男を見送り、灰原は「ど、どうしよ⁉」と慌て始めた。
「お、追いかけた方がいいかな⁉」
「星良さん、彼が呪詛師で間違いありませんか?」
「術式は問題なく発動したので、間違いないです。でも、ただの呪詛師ってことも……理子さまの件と関係あるかは分かりません」
そうですよね、と七海が思案する。その表情もカッコいい。