第37章 ブリランテに照りつける太陽【壊玉】
「七海さん! あたしにも協力させてください!」
「星良ちゃん? 星良ちゃんは僕と……」
すると、星良は「はい」と星也に数枚の呪符を渡した。
「ちゃんと用意してるわよ」
あぁ。人形(ヒトガタ)と隠形の呪符か。
「え、なんで渡してくるの?」
「大丈夫 大丈夫。星也は強いし、“最強”の術師が二人ついてるから」
「いや、僕は星良ちゃんと……」
「じゃ、行きましょ、七海さん」
「星良ちゃ……」
手を引く星良を無下にすることなく、七海は空港の奥へと去って行った。灰原も「行ってきまーす!」と大きく手を振って七海に続く。
そんな三人を、星也は青い顔をしながら見送った。
「じゃあ、私たちも行こうか。取引場所まで、そんなに離れていなかっただろう? 予定通り下見をしておこう」
夏油の言葉に、五条も「おう」と頷く。明け方に犯人たちから取引場所の連絡が入っていたのだ。
「星良ちゃん……」
「星也、気をしっかり持て! 五条たちもおるし、おぬしの実力も分かっておる。だから、星良は己の感情を優先させたのじゃ!」
信頼の裏返しだと理子が必死に励ますも、星也は動かない。
「おい、星也。置いて行くぞ。姉貴に彼氏ができたからって落ち込むなよ、シスコン」
「心配しなくても、七海は愛想はないけど、真面目で実直な男だよ。いい嫁ぎ先が見つかってよかったじゃないか」
「そなたら! もっと言葉を選ばんか! それに、彼氏ではないじゃろ!」
「……やっぱり、この二人嫌いだ……」
理子の説得の甲斐もあり、どうにか星也は動き出した。
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