第37章 ブリランテに照りつける太陽【壊玉】
「あなたが十年後も私を好きだと思っていたなら、そのとき考えます。それでいいですか?」
「ホントですか⁉ 約束ですよ!」
「星良ちゃん……なんでそんなヤツ……」
パァッと目を輝かせる星良に対して、弟の星也は絶望的な顔をしている。
もはや、これまで見てきた星也とは別人だ。分かっていたが、姉が関わるとこんなに情緒が乱れるのか。
「星也、落ち着け。星良とて人を好きになることもあるじゃろ。それがちょっと早かっただけじゃ。な?」
「嫌いだ……あの七三嫌いだ」
理子が星也の肩に優しく触れて慰めるが、彼の気が晴れることはなかった。
「そんな言うなよ、弟くん。七海、いいヤツだからさ」
「短ランも嫌いだ」
バシバシッと背中を叩く短ランを着た灰原に、星也は拗ねたように唇を尖らせる。
「あははっ! 星也に嫌い認定されてやんの!」
「悟もされてるよね」
「傑も言われてたろ」
指をさして笑っていると、星也にめちゃくちゃ睨まれた。
「もういいでしょう。話を進めてください」
居心地悪そうに七海がじろりとこちらを見てきて、五条は「へぇへぇ」と軽い返事をする。
「私たちはこれから、黒井 美里の救出に行ってくる」
「救出できても空港占拠されて帰れねぇとかマジでシャレになんねぇから、よろしく。あと、コイツの首に懸賞金がかかってっから、呪詛師とか怪しいヤツ見かけたら捕まえといて」
「仕事 多くないですか?」
「いいじゃん いいじゃん。先輩たちが、僕たちの力を必要としている! 応えるのが後輩ってもんだよ」
なんだそれ。ま、いっか。納得しているなら。七海はそんなこと一ミリも思ってなさそうだけど。