第37章 ブリランテに照りつける太陽【壊玉】
五条たち一行は相手の指定した二時間前には沖縄に到着していた。それからしばらくして、七海と灰原も合流する。
「夏油さ〜ん! おっまたせいたしました‼︎」
朝早くから羽田空港に行き、飛行機に乗ってここまで来た……はずたが、灰原は元気である。
反対に七海は無愛想に拍車がかかっており、いつにも増して眉間の皺が深い。
「無理を言って悪かったね、灰原。七海もありがとう」
「まぁ、仕事なんで」
「いえいえ! 夏油さんの頼みとあらば!」
犬みたいな奴だな。
【星漿体】の護衛任務中であることを説明し、理子を紹介する。彼女は小さく頭を下げつつも、星也の後ろから出てくることはなかった。
「そちらは?」
七海の視線が双子に向く。
「僕は神ノ……」
「あたし、神ノ原 星良です!」
ダッと星良が七海の元へ駆け、食い気味に自己紹介を始めた。
「は? あ、そう……」
「七海さん! あの、恋人っていますか?」
「え? ね、姉さん?」
グイグイと猛烈なアプローチに、七海が身を引き、星也が戸惑ったように姉を呼ぶ。
「星良の奴、どうしたのじゃ?」
「七海に一目惚れか。可愛いね」
「おいおい、星也がやべぇ顔してるぞ」
「僕も七海のあんな顔 初めて見た!」
理子、夏油、五条、灰原が見守る中で、星良は七海の手を握る。
「恋人はいませんが……」
「じゃあ、あたしが立候補してもいいですか?」
「“星良ちゃん”⁉」
どうやら星良は、恋愛には積極的なタイプらしい。まだ十歳にも満たないガキのくせに、ませてんな。
灰原ではないが、あんなたじたじの七海は初めて見た。めっちゃウケる。
やがて、七海はやれやれと息を吐き、星良の頭を撫でた。