第37章 ブリランテに照りつける太陽【壊玉】
「どんな目的であれ、行かない選択肢はありません。作戦を立てましょう」
オマエが仕切るな、と五条は星也をひと睨みした。
「受け渡し場所は連絡待ち。場所がどこにせよ、下見はしておきたいから、早めに向こうに到着した方がいい」
「今からは動けないですし、日が昇ってってなると、移動手段はやっぱ飛行機ですよね。逃げ道がない分リスクは高いですけど、早い時間帯なら人もそれほど多くないでしょうし、多少はリスクも軽減できるんじゃないですか?」
夏油の提案に、星良が「んー」と顎に指を当てながら考える。
「飛行機か……それなら、僕は【天空】に外を見張らせます。ただ、【天空】の索敵範囲は広いですが、力はそれほど強くない。二級呪霊くらいだ」
「だったら、戦闘面は私の呪霊にカバーさせよう。悟」
「わーったよ。乗員乗客に呪詛師がいないか確認すりゃいいんだろ」
ま、一番 無難な作戦だな、と五条は自棄気味にため息を吐いた。
「あたしはその辺りじゃ役に立ちませんね。理子さまと大人しくしておきます」
眉を下げる星良に、星也が「そんなことはないよ」と微笑みかけた。コイツ、姉にしか笑いかけないんだな。
「姉さんには、僕たち全員の人形(ヒトガタ)を作って欲しい。あと、隠形の呪符も」
なるほど。受け渡しの作戦か。
犯人たちの前には人形(ヒトガタ)が出て、星良の呪符で姿を隠した五条たちが黒井を救出、同時に犯人を確保する、というわけか。
「オーケー。任せて、星也」
星良は笑みを浮かべるが、どこかぎこちなく見えるのは気のせいだろうか。
少ながらず、優秀な弟に劣等感を抱いているのだろう。頼られるのは嬉しい……が、おそらく【陰陽術式】を使える星也にも同じことができる。
役割を譲ってもらった。そんな風に感じているのかもしれない。
微妙にズレてるな、この双子は。
けれど、星良には投げやりな印象や、諦めている様子はない。消化済みの悩みということか。