第37章 ブリランテに照りつける太陽【壊玉】
理子はそのまま学校を早退し、五条たちはホテルの部屋にいた。
五条と夏油で一部屋、理子と星也、星良で一部屋だ。
星也は五条たちと同じ部屋がいいと言ったが、理子が最後まで譲らず、そのまま星也が折れる形で決着したのだった。
寝ると術式が切れるため、五条、夏油、星也、星良の四人で、交代しながら見張ることが決まっている。
星良が加わることに星也は難色を示していたが、彼女とて術師だ。「理子のために自分も何かしたい」と星良が意志を通した。
ただ、夏油は呪霊がいるし、星也と星良は同室。自分だけ部屋に入れねぇじゃん、と五条は言ったが、どういうわけか理子は「入室禁止!」と指さしで指示してきた。
ま、もしものときは部屋ぶち壊せばいいだろ。
現在、理子の部屋で五人は拉致犯からの連絡を待っていた。緊張状態が続いていたために疲れていたのか、犯人からの連絡を待つと意気込んでいた理子は先ほど寝てしまった。
やがて、二十一時を少し過ぎたところで、理子の携帯にメールの通知が入る。
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黒井 美里は預かった。
返してほしければ、明日 十一時に
天内 理子を沖縄に連れて来い。
詳しい場所はまた連絡する。
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「沖縄……ですか」
ポツリと星也が呟いた。
「バカなのか。沖縄行くには、どう考えたって公共交通機関を使うだろ」
「人質を連れているんだ。自動車を使う方がリスクも少なそうだけどね」
「なにか、手段があるんじゃないですか? ほら、自家用ジェット機とか、空を飛べる術式とか移動用の式神とか。星也の式神も空 飛べる子は多いし」
自家用ジェットを出してまで遠方を引き渡し場所に指定するか?
仮に術式やら式神だったとして、移動するのは一人ではないし。
つーか、なんで沖縄なんだよ。観光じゃねぇだろ。
五条が鼻で笑うと、苦笑しながら夏油と星良が続く。