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夢幻泡影【呪術廻戦/伏黒 恵オチ】

第36章 リゾルートに揺るがぬ決意【壊玉】


「意外と不便なんだよね。あまり大きな反応は近くに作れないし、指向性にまで気を遣いだすと呪力操作がまー面倒で。要は超疲れんの」

 ……っていうのは、全部 順転の術式の話。

 そう続けで、五条は先ほどまで説明していた“ 吸い込む力”で男を引き寄せる。そして、人差し指と中指を揃えて掲げた。

 戦闘を終えた星也がこちらへやって来て、理子に「怪我はありませんか?」と聞いているのを気配で感じる。その後ろには、女の襟元を咥えた真紅の大蛇がいた。

 五条は口角を上げる。

「こっちは無限の発散」


 ――【術式反転『赫』】


 ビシッと揃えた指先を突きつけると、男は手を前に交差させて身構えた。

「……?」

 何も起こらずビクビクとしながらも首を傾げる男に、五条はフッと小さく笑う。

「失敗!」

 おどけるように下から上に向けて拳を突き上げ、五条は男の顎へアッパーを決めた。気絶して動かなくなった男を見下ろす。

「なんかできそうって思ったんだけどなぁ」

「何やってんですか」
「マジでなんなんだコイツ」

 星也と理子の声が揃う。その声を聞いて、五条は「なぁ」と星也を呼んだ。

「オマエ、術式反転させんのってどうやってんの?」

「見てたんですか。さすが、【六眼】は見え方が違いますね」

 皮肉ともお世辞ともつかない台詞に、五条は「褒めんなよ」と言いつつサングラスを外して“視る”。

「僕たち神ノ原の呪力には癖があるので、参考になるか分かりませんが……あなたなら見た方が早い」

 分かりやすいように、星也が両手にそれぞれ呪力を纏わせ、それを握り合わせた。フォンッと呪力の質が変わる。

「ふぅん、なるほどね」

 確かに、これは癖だ。おそらく、呪力が敏感。
 触れた側から二つの呪力が結びつき、変質していく。
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