第36章 リゾルートに揺るがぬ決意【壊玉】
「天内!」
バァンッと五条が勢いよく扉を開くと、全員の視線が集まる。もちろん、五条の後ろにいる星也も例外ではない。
「なっ……なな……」
理子が顔を赤くして口をパクパクしている。彼女にとっては不本意かもしれないが、無事でよかった。
「「「え〜〜〜〜〜〜⁉︎」」」
女子生徒たちの叫びに、星也は耳を塞いだ。次いで、理子はクラスメイトたちに取り囲まれていた。
「何⁉︎ 理子の彼氏⁉︎」
「後ろの子は理子の弟? それとも彼氏の弟?」
「ち、違っ……いとこ! 二人ともいとこだよ!」
ハイテンションのクラスメイトたちに、理子が大慌てで弁解する。
「高校生⁉︎ 背ェ高!」
「弟くん、めっちゃ可愛いんだけどー!」
「おにーさん、グラサン取ってよ!」
要望に応え、五条がサングラスを外してキメ顔をすると、女子生徒たちから興奮した悲鳴が上がった。
何やってんだ、この人。
「おい、調子に乗んなよ!」と半ギレの理子をよそに、音楽の担当だろう女教師がパンパンッと手を叩く。
「コラ! 皆さん、静粛に! はしたないですよ!」
「先生だって気になるくせに」
指をさされながらも、女教師はツカツカとヒールを鳴らしながらこちらへ来た。
「困りますよ。身内とはいえ勝手に入られては」
「あー……いや、緊急なもんで。スミマセンね」
全くもって心のこもっていない五条の謝罪である。もうちょっと上手いことやってもらえないだろうか。
呪詛師たちがここまで来ているのだ。早く連れ出さなければ、この学校が戦場になる。これだけ多くの一般人を気にかけながら戦うことなどできない。
子どもの自分が口を挟んでもいいものだろうか。
そんなことを考えていると、女教師は五条に身を寄せた。