夢幻泡影【呪術廻戦/伏黒 恵オチ】アンケート開催中
第4章 決意へのマーチ【秘匿死刑】
「悪いのは先輩じゃなくて、アレを拾ってきた俺だ。ごめんな」
ごめん、ともう一度謝る。
謝ってどうにかなる問題ではないけれど、虎杖にはそうする以外に思いつかなかった。
こんなことが起こるなんて分かっていたのなら、拾おうなんて考えもしなかっただろう。
だが、起こってしまった事実を変えることはできないから……受け入れて、立ち向かうしかない。
不意に、星良が肩を叩いてきた。視線が合うと、夜色の瞳が何かを訴えてくる。
言葉はなかったが、彼女の言いたいことは分かった。
そう。ここへは、別れを告げにきたのだ。二人とはもう、二度と会えないかもしれない。だから、ちゃんと礼を言いたくて。
「ありがとう、佐々木先輩、井口先輩。バイバイ」
ポカンとする二人に手を振ると、後ろでシュルシュルと巻物が擦れる音がした。
「――【入眠】」
佐々木と井口は、糸の切れた人形のように、深い眠りへと落ちる。規則正しい寝息が耳に届き、虎杖は深く息を吐いた。
「……二人は、どうなるんスか?」
「そんなに警戒しなくても大丈夫。これまで通り、普通の生活に戻ってもらうだけよ。ただ、昨夜のことは忘れてもらうわ。下手に呪霊とか【呪い】とか、吹聴されるとこっちも動きにくくなるから」
そう説明しながら、星良は巻物に【記憶】【改竄】と文字を書き連ねていった。
「ありがとうございました。二人にちゃんと挨拶ができて……」
すると、星良は少し背伸びをして、「いい子 いい子」と虎杖の頭を撫でる。
「まだ、挨拶しておきたい人がいるでしょ?」
ニコッと微笑んだ星良の笑みは、先ほどの明るいものではなく、どこか慈愛を含んだものだった。