第4章 決意へのマーチ【秘匿死刑】
「……伏黒 詞織」
「は?」
何、その響き。めちゃくちゃイイ。
「それとも、神ノ原 恵?」
「なんで、俺が婿入りしてんだよ」
悪いとは言わない。
実際、伏黒の父親は禪院家の人間で、伏黒の母親に婿入りして改姓している。
いや、やはり、詞織に嫁いできてもらいたい。
父親と同じ婿入りというのも癪だし、せっかく男に生まれたのだから、好きな女には自分の苗字を名乗ってもらいたいのだ。
まぁ、反転術式で治療してもらえば、傷痕など残らないのだが。
「……考えとく」
「しっかり考えとけ」
ピンッと軽く額を弾くと、恨めしそうにこちらを睨みつけてくる。
そんな詞織を促して、伏黒は五条に指定されている場所へと向かった。
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