第31章 もっと強くフェローチェに【起首雷同】
兄弟のため、兄弟が望むのであれば、それに殉ずるのみ。
『辛いようでしたら、今すぐ殺して差し上げましょうか?』
壊相は片腕を上げる――と、釘崎がククッと肩を震わせて笑った。
痛みに気でも触れたか?
「当たれば勝ちの術式。強いな、オマエ。でも、残念。あたしとの相性、最悪だよ‼」
――【芻霊呪法――共鳴(ともな)り】‼
釘崎が五寸釘を手に打ちつけた――瞬間、ドグンッと壊相の身体を引き裂かれるような激痛に襲われる。
「我慢比べしよっか♡」
彼女はダラダラと血が流れる自身の腕を掲げ、ニヤリと笑った。
「痛いのは嫌だろ? なら、さっさと泣きながら術式解けよ」
ドクン、ドクンと激しく身体が痛みに脈打つ。
まさか、呪詛返しの術式!
我慢比べ……こちらが術式を解かねば、コレが続くというわけか!
なかなかに強烈。
だが、何度やっても、それで祓われることはない。
我慢さえしていれば、いずれ死ぬのは二人の方。
しかも、【朽】の発動中は痛みと毒でまともに動け――……。
――虎杖が動いた。
呪力を纏った拳が構えられる。
『なぜ、そこまで動ける?』
回避行動を取ろうとするも、釘崎が新たな五寸釘を自分の腕に刺し、【共鳴り】を発動させた。激痛に身体が硬直する。
そこへ、顔が歪むほど虎杖の拳がめり込んだ。
――虎杖 悠仁は猛毒――呪いの王【両面宿儺の器】。
故に、あらゆる毒に耐性がある。『分解』の痛みはあれど、その果ての『毒』は効かない。
痛みだけでは、虎杖 悠仁は止まらない。
そんなことを知らない壊相は、虎杖の動きに混乱した。