第4章 決意へのマーチ【秘匿死刑】
「……おんなじだよ……今 死ぬか、宿儺を全部取り込んでから死ぬかなんて……そんなの、何も変わらない……」
わたしのせいで……と繰り返す詞織を、伏黒はソッと抱きしめた。優しく、落ち着かせるように頭を撫でる。
「オマエのせいじゃない。オマエは何も悪くない。全部、理不尽な世の中が悪いんだ。それでも……」
死刑にしろと言う上層部は、結果しか見ていない。
呪術規定なんて、半分は理不尽の塊だ。
コイツは呪いを取り込んだ。
だから、コイツは人間ではなく、呪いだ。
けれど、そこには結果に辿り着くまでの行動があって、その行動に辿り着くまでの感情がある。
あの場にいた全員を助けようとした、虎杖のように。
幽閉された末に双子で殺し合いを強要された、詞織のように。
たとえ呪いを取り込んだとしても、人間なのだ。
虎杖も――そして、詞織も……。
理不尽に奪われていい命じゃない。
伏黒は詞織の涙を拭い、コツンと額を合わせて続ける。
「それでも、どうしても背負いたいって言うなら、俺も一緒に背負ってやる。だから、もう泣くな」
「メグ……」
うん、と小さく頷いて、詞織は大きく息を吸った。