第28章 アンショーソに掻き立てられる【起首雷同】
「さっさと話しなさいよ」
「うん……津美紀は、メグのお姉さん。メグのお父さんと津美紀のお母さんが再婚して、二人は連れ子同士の姉弟だって聞いてる」
詞織は小学一年のときに伏黒と出会い、まもなく津美紀とも出会った。
「一緒に住むようになったのは、メグと出会った年の冬のこと。兄さまと姉さまも一緒にご飯を食べたり、メグたちがわたしたちの家に泊まることも増えて……それなら一緒に住もうって、姉さまが言い出した」
伏黒たちは高専からの援助で暮らしていた。
高専の援助は少なくなかったが、余裕があるほど多くもなく、一緒に暮らすことで二人の助けになれればと、兄や姉は考えたのだろう。
星也と星良は幼いながらも、すでに呪術師として活躍し、それなりの額の報酬をもらっていたから。
「津美紀はとても優しくて、わたしのこともホントの妹みたいに可愛がってくれた。わたしが無茶すると怒ったし、それでケガをしたら泣きそうな顔で心配してくれて……メグはよくケンカしてたから、津美紀にはいつも怒られてた。毎日 楽しかったし、幸せだった。それが……」
中学三年に上がってしばらく経った頃のことだ。津美紀が呪われ、目を覚まさなくなったのは……。
そのときは何も分からなかった。正体も出自も、何もかも不明。
星也が色々と解呪を試したがそれもダメだった。