第28章 アンショーソに掻き立てられる【起首雷同】
「この【八十八橋の呪い】は被呪者の前にだけ現れる。けど、津美紀は寝たきりだから、異常が起こっても言えない。いつ呪い殺されるか分からない……!」
そこまで話すと、虎杖が「なるほど」と拳を打つ。
「じゃ、津美紀の姉ちゃんを助けるために、【八十八橋の呪い】を解けばいいんだな」
「そうだけど、こんな大規模な呪い……そんな簡単にいく相手じゃない」
「でも、伏黒が一人で行くより、あたしたちも行った方が勝率は上がる」
まさか、本当について来るつもりなのか?
「行くのはいいとして、新田さんはどうする?」
「部屋にいるんだし、こっそり抜け出せばバレないって」
順平と虎杖に、詞織は止めるのを諦めた。
仲間を見捨てない。
それはきっと、伏黒だって同じことをするに決まっている。
「ありがとう、皆」
耳の奥で鳴る“イヤな予感”は消えない。
それでも、きっと大丈夫だ。
全員が生きて帰る。
誰一人 欠けることなく。
――だから、メグも死なないで。
心配してくれたのは分かっている。
けれど、じっとなんてしていられない。
津美紀を助けたい気持ちは、自分だって同じなのだから。