第28章 アンショーソに掻き立てられる【起首雷同】
―― 一時間後。
「暇ぁ~~〜……ッ!」
釘崎がだらだらとだらけ始める。
女の子なのだから、そんなに足を広げてははしたないだろうに。そんなことすら気にならないほど暇らしい。
「詞織、イヤな予感とかないか?」
「ない……から、寝る」
伏黒の膝を枕にして詞織が寝転がる。
本当に仲が良いな、この二人は。見ていてほんわかする。
――さらに、一時間後。
「順平、これ何てタイトル?」
「日本ゾンビ化計画3 ワールドワイドVer.」
順平も暇に耐えかね、スマートフォンのサブスクで映画を流し始めた。
「なんか、あんま面白くねぇな」
「一番最初のヤツは面白かったんだけど、2で監督が変わって、3で主演の俳優も変わって……なんか作品の全体的な雰囲気も変わっちゃったんだよね」
「なんで続編が作られたの、これ?」
「おい! オマエらだけ楽しんでんじゃねぇよ‼︎」
そうだよなぁ、と頷いていると、釘崎の怒号が飛んでくる。
「そんなこと言ってもさぁ、実際 暇じゃん? 呪霊も来ねぇし。なぁ、伏黒?」
「詞織を眺めるのに忙しい」
「キモッ」
「釘崎さん、そんなにはっきり言わなくても……」
もはや病気のレベルだと自分も思っているが。
「はぁ……詞織が熟睡してる。今夜はあまり期待できないぞ」
先ほど伏黒から聞いたヤツか。
詞織のイヤな予感は外れたことがない。
少しでもその気配があれば、熟睡などできるはずもないと。
「あぁっ、もう! やってらんないわ!」