第26章 狂おしいほどのパッショナート
「え……? は……?」
伏黒はここ数年で最も大きな衝撃を受けて固まっていた。
「え……何? 初恋相手でしょ? 兄さまだけど……変? だって、兄さま……強いし、カッコよくて優しいし……誰だって憧れるでしょ?」
「詞織の兄貴って、星也さんだよな?」
「あれでしょ? 『大きくなったらパパのお嫁さんになるー』って感じの、お兄さんバージョン」
「星也さんなら納得かも……」
虎杖、釘崎、順平の言葉も、伏黒には届いていなかった。
そういえば……小学校の低学年頃、やたら詞織が星也にベッタリだったことがあったような気がするが……そういうことだったのか。
腹を抱えて五条が大爆笑しているが、それすら伏黒は気にならなかった。
「オイ、詞織。伏黒がショックで固まってるぞ」
「自分が初恋相手だとでも思ってたのかしら。自意識過剰ね」
「自意識過剰って……釘崎さんが人に使うんだ」
「おい、コラ、吉野。どういう意味だ?」
「ナンデモアリマセン」
とりあえず、虎杖たちが「慰めてやれ」と、詞織と伏黒をくっつけてきた。
「あ、あの、メグ? 兄さまは実の兄さまだし、恋人になりたいとかそんなんじゃなかったし……まぁ、野薔薇の言う通り、『大きくなったら結婚したい』って思ったこともあったけど、子どもだったし……」
グサッと詞織の言葉が刺さる。
やばい、泣きたい気持ちになってきた。