第25章 アレグロに青空を駆け抜ける【呪術甲子園】
「俺の話を聞くだけじゃ足りないって?」
「別にそういうわけじゃないけど。でも、色々な話聞く方がいいでしょ? それに垂水さんはジュンペーと同じ【クラゲ】も使えるし」
伏黒がガシガシッと頭を掻き、長く重たい息を吐き出し、一歩 後ろへ下がった。垂水の話を聞かせてくれるようだ。
「はいはい。【クラゲ】の話ね……」
そう言いながら、垂水は水の輪を出し、そこからふわふわと【クラゲ】を呼び出した。
「キミのクラゲ――【澱月】だっけ? 何ができるの?」
「あ……えっと……毒を使ったり……触手を鋭くして攻撃したり……」
「毒ね。どんな?」
「どんな? えっと……僕の呪力で生成した毒で……」
言い淀んでしまうと、垂水は「なるほどね」と小さく呟いた。
「だから、それは何の毒なわけ? 色々あるでしょ。神経系に作用する麻痺毒、吐き気や腹痛を起こす消化器系、判断能力を鈍らせる幻覚系とか錯乱系、短時間で命を奪う致死毒……」
クラゲの毒はタンパク質毒を主成分とし、熱に弱い。
触手や傘の縁に毒を持つことが多く、刺されると痛みや痒みなどの皮膚症状が現れることが多いが、それは一般的なクラゲの話だ。
垂水の【クラゲ】の持つ毒にはいくつか種類があり、麻痺毒や幻覚・錯乱させる毒を持っており、状況に応じて使い分けているらしい。
さらに、刺されれば激痛を伴い、皮膚が壊死して死に至る致死毒も持ち合わせているとか。しかも、電撃も使える。
「それと、ボクの【クラゲ】は捕食もする。ま、攻撃力はボクの式神の中だとそこそこくらいかな。致死毒もコイツより強いと効きが悪いし、単独じゃ二級程度しか祓えない」
え……凄い。僕より強い。