第25章 アレグロに青空を駆け抜ける【呪術甲子園】
「何言ってるの? スペアよ、スペアメカ丸」
真依によれば、一昨日の交流会でパンダと交戦し、破壊されてしまったのだという。
「ピッ……チング、マシーン? よく分からないわ。あなた、機械にも詳しいのね。もしかして、オタク?」
――六番《ファースト》禪院 真依
「次から次へと、よくもまぁ」
真依の煽りに、釘崎は青筋を立てる。
ピッチャーのメカ丸が放ったボールを釘崎は打ち上げた。
「おっ、出塁した」
「ヤケクソだな」
「東北のマー君も逃げ出しそう」
「そりゃあ、あの気迫じゃ逃げたくもなるよね」
虎杖、伏黒、詞織、順平の言葉に、「おい、聞こえてんぞー!」と八つ当たり気味に釘崎が怒鳴る。
続いて、二番《外野手》伏黒 恵が送りバントを放つ。
さらに、三番《ファースト》パンダがヒットを打って出塁。
畳み掛けるようにして、四番《ピッチャー》禪院 真希が高く打ち上げた。
「よし、三点」
釘崎、パンダの二人が塁に出ている状態でのスリーランホームラン――……のはずだったが、ポスッと箒に乗った桃がキャッチする。
その様子に驚愕する東京校。
「うわあぁぁ、せっこ!」
「おかか!」
「ホームラン打たせる気ないじゃん!」
「メグもさっきコンちゃん出して外野守ってたでしょ」
「釘崎、戻れー」
自分たちのことを棚に上げて、京都校を責め立てる虎杖、狗巻、順平。
それに対し、詞織は冷静にツッコミを入れ、伏黒は淡々とした表情で釘崎に声をかけた。