第24章 パッションの爪痕【完遂~呪術甲子園】
「へぇ、そういうこともあんのか」
「アンタ、ソイツと闘ったんでしょ?」
「大丈夫だったの、虎杖くん?」
「うーん……そういえば、東堂がなんか食らってたけど、弾いてたんだよな」
顎に手を当てながら、虎杖が記憶を辿る。
「呪術師なら普通、呪霊の攻撃は呪力で受ける。でも、東堂さんはメグの呪種を見ていたから、呪力で受けなかった。それだけのこと」
「なるほど」
でも、あのときはさぁ……と虎杖が笑いながら話す。東堂と連携しながら、特級呪霊とどう戦ったのか。
自分はソイツと戦って、手も足もでなかった。
呪種をくらって、詞織のことも守れなくて、こんなところで寝ている。
虎杖は、東堂と一緒だったとはいえ、しっかりと渡り合って、後退にまで追い込んだ。
二級術師である自分と、最近 術師となったばかりの虎杖。その間に、すでに溝ができ始めているのを感じた。
「虎杖」
伏黒が呼ぶと、ピザを食べようとしていた虎杖が、「んあ?」と大きな口を開けたままこちらを見た。
「オマエ、強くなったんだな」
雨が降る少年刑務所――虎杖が一度 死んだあの日、彼は言った。
――「オマエの真実は正しいと思う。でも、俺が間違ってるとも思わん」
けれど、逆に言えば、自分たちは二人とも間違っている。
そう話すと、吉野は苦笑し、釘崎は眉を寄せ、詞織は微笑んだ。
「言いたいことは分かるけど、ちょっと難しいね」
「答えがない問題もあんでしょ。考えすぎ。ハゲるわよ」
「でも、それがメグのいいところだよ」
「別に、いい話なんかじゃない」
詞織の頭を撫で、伏黒は虎杖へ視線を戻す。