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夢幻泡影【呪術廻戦/伏黒 恵オチ】

第22章 終わらないロンド【黒閃】


「キスしたのか? 他は?」

「え……? キスと……少し触られたくらい、かな……?」

 ふーん…と素っ気なく返し、再び口づけする。彼女の口の中に舌を入れ、周りに聞かれないように控えめに、それでも呼吸を奪うように深く。

 ゆっくりと離れると、詞織が「メグ?」と熱っぽい声で呼んでくる。

 それを無視して彼女の制服の襟元を下げ、ちゅっと強く吸いついて所有印をつけた。

「ぃっ……」

「上手かったか? 俺よりも」

「え?」

 戸惑う詞織に、伏黒はムスッと視線を逸らす。

「言ってたんだろ、アイツ。キスもそれ以上も、俺より上手くできるって」

 初めて京都校のメンバーと遭遇した日、詞織は言っていた。

「そんなの、分からない……だって、メグじゃないって分かったら怖くなって……」

「そうか」

 そっと触れるキスをして、小さな身体を抱きしめる。

「許してくれるの?」

 詞織の言葉に、伏黒は「はぁ……」と大きく苛立ちを吐き出した。

 言ったら困らせる?

 困るわけじゃない。ただ、腹が立つだけだ。

 それでも……。

「いいよ。お前が望んだわけじゃないって分かってるからな」

 許す――詞織のことは、何があっても。
 詩音がそうするように。

「詩音は……大丈夫か?」

「……苦しんでるみたい。わたしのせいで……」

 そうだろうな。聞くまでもなかったか。

 力を解放して、十時間は表に出て来られない。
 その“縛り”を破った反動だ。

 詞織のせいというわけではない。
 詞織のためにやったことだ。
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