• テキストサイズ

夢幻泡影【呪術廻戦/伏黒 恵オチ】

第22章 終わらないロンド【黒閃】


「アイツはすごいな……本当に」

「メグが詩音を褒めるなんて……どうしたの?」

 いつか、詩音を祓う。
 その気持ちに変わりはない。

 詞織を守るために命を絶った彼女の双子の姉。

 伏黒も、詞織を守るためなら命を懸ける覚悟がある。
 けれど、詩音はそれを本当に実行し、【呪い】となった。

 詞織を今でも過去に縛りつけようとするアイツが許せない。


 許せなくて――同時に、尊敬する。


「俺は……お前の一番にはなれない。こうやって触れて、キスして、何度お前を抱いても……どこまでいったって、俺はお前にとって二番目の人間だ」

「メグ……わたしは……」

 声を震わせ、不安げな瞳で見上げてくる彼女に、伏黒は微笑みかけた。

「そんな顔すんな。責めてるわけじゃない」

 詞織に一番に想われていることが詩音にとっての誇りなら、詞織に二番目に想われていることは、伏黒にとっての誇りだ。


 ――『伏黒 恵。あたしが表に出られない間は、とっても不本意だけど、詞織のことを任せるわ。世界で二番目……あたしの次に、この世で詞織を愛しているあなたにね』


「いいよ。俺はこの先ずっと、お前の二番目で」

 それを望んでしまったら、詩音の覚悟も、詞織のこれまでの人生も、全て否定してしまうことになる。

「心は……詩音にくれてやる。俺以上に詞織を愛してるアイツに。だから、せめて身体は俺にくれ」

 願うようにもう一つ所有印を刻むと、詞織が「うん」と一つ頷いた。

「詩音のことは、世界で一番愛してる。でも、メグのことは、世界で一番大好き。これだけは、“絶対”に変わらないから」

 ちゅ…と詞織からの控えめなキスに、胸がじわりと熱を持つ。

 この場で彼女を抱くことができない分、二人は戯れ合うようなキスを何度も繰り返し、互いを抱きしめた。
/ 857ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp