第21章 唐突に現れたディソナンス【京都校交流会―団体戦―〜呪具】
「《そのナマクラでは私は斬れませんよ》」
今 折れた刀……確か京都校の三輪が持っていたものだ。
伏黒はこのチャンスを逃さぬよう、黒い刀を影から出し、滑るように駆けて呪霊の顔面へ刃を突き出した。パキッと目から突き出た木の一部が砕ける。
やはり、顔面の木は他の場所よりも脆い。
先ほど、加茂の攻撃でも砕けていた。
「《少年の刀は悪くない》」
真希が低く舌打ちをして、折れた刀を投げ捨てる。
真希が合流したものの、状況は劣勢。相手が強すぎて、ほとんど攻撃が入らない。
「詞織はどうした?」
「詞織に取り憑いてる特級呪霊です」
いつもと様子が違う詞織を見て尋ねる真希に、簡潔に説明する。伏黒の回答に、真希は「へぇ」と口角を上げた。
「お前、何ができるんだ?」
『あたしを使おうっていうの? 呪力も持たないくせに、傲慢がすぎるんじゃないかしら』
忌々しそうに詩音が真希を睨みつける。
「このままじゃ、オマエが自分よりも大事にしてる詞織もここで死ぬぞ」
脅しともとれる伏黒の言葉だが、それは決して脅しでもなかった。事実、全滅してもおかしくない状況。
ギリッと奥歯を噛み締め、詩音が悔しそうに口を開く。
『同じ特級とはいえ、あたしよりも格上の相手よ。さっき詞織が枷を外してくれていたおかげで、多少攻撃は通るみたいだけど、とても倒すなんてできないわ。それに、こっちにいられる時間もあまりない』
詩音の回答に、真希は「上等」と不敵に口角を上げた。