第55章 永久を願うコン・アモーレ【渋谷事変】
「じゃあ、そのまま深呼吸しよう。僕の声に合わせて。ゆっくり吸って……1、2、3、4……深く吐いて……1、2、3、4、5、6、7、8……」
しゃくり上げて上手くいかなくても止めず、「大丈夫」と声をかけながら、何度か深呼吸を繰り返させる。呼吸が落ち着いて冷静になってきたのか、呪力操作が少し安定したような気がした。
「星良ちゃん……落ち着いて聞いて。七海を助けるには、星良ちゃんの力が必要なんだ。分かるね?」
コクコクと激しく頷く星良に、灰原は落ち着いた声音を意識して口を開く。
「……どうすれば七海を助けられる? できるできないは置いといて、何か方法はある?」
頼りなく揺れる夜色の瞳が、灰原から固く目を閉ざした七海に落とされた。
「ふ……【復元】なら……助けられる……と、思い、ます……でも……呪力が足りなくて……っ! 呪力制限の“縛り”を解けば……使える、けど……! でも、それを使ったら……他の人っ、助けられなくなっちゃう……っ!」
また星良の目尻に涙が溜まり、ポロポロと溢れ出す。
「七海さんを助けたいのに! そう思ってるのに! 七海さん“だけ”を選べない……っ! そんな自分がイヤで……っ! それを間違ってないって……そう分かってる自分はもっとイヤで……あたし……どうすれば……っ!」
七海に縋りつき、星良が再びしゃくりあげながら泣き出した。
「星良ちゃん。泣いてても七海は助からないよ」
「灰原さん……」
ゆっくりと顔を上げた星良の涙を拭う。