夢幻泡影【呪術廻戦/伏黒 恵オチ】アンケート開催中
第3章 はじまりのプレリュード【両面宿儺】
「……詞織、まだ戦(や)れるか?」
「当たり前。それより、メグの方が限界じゃない?」
「まさか」
不敵に笑いながら、軽口の応酬をする。けれど、コンディションは最悪。
笑っていられるほど、状況は良くなかった。
もしかしたら、二人ともここで死ぬかもしれない。
【領域展開】――せめて、それを完全に習得できていれば……。
けれど、詞織の【領域展開】は未熟で、形が安定していない。失敗して術式が一時的に使えなくなってしまうリスクを考えると、その賭けはあまりにリスクが大きい。
手が震えるのは何故だろう。身体が……心が凍えそうだ。
ギュッと唇を噛み締めると、不意に震える手が温もりで包まれた。
「そんな顔すんな」
振り向くと、伏黒が珍しく表情を和らげてこちらを見ている。
「メ、グ……?」
「俺たちは何だかんだ腐れ縁だ。どうせ、死ぬときだって一緒だろ」
――オマエ一人で死なせねぇ。
伏黒の言葉が、心を占めていた恐怖も不安も吹き飛ばしていく。
あぁ……そっか。一人じゃないんだ。
メグが一緒にいてくれるなら――……。
詞織は伏黒の手を握り返し、力強く頷く。
伏黒が呪霊へ視線を移したのに倣い、詞織も夜色の視線を呪霊に向けた。
「オマエの術式でアイツを拘束しろ。そしたら、俺が【鵺】で叩く」
「分かっ……」
「なぁ」
分かった、と頷こうとする詞織を遮って、虎杖が詞織たちに呼びかける。