第21章 唐突に現れたディソナンス【京都校交流会―団体戦―〜呪具】
「あれって……」
「帳だね」
確か、里桜高校にも張られていた。
目に見えての異常。虎杖たち交流会参加者もすぐに気づくはず。
「五条! 帳が下りきる前にアンタだけ先に行け!」
歌姫の言葉に、五条は間髪を入れず「無理」と言い放つ。
「はぁ⁉︎」と苛立ちを隠さない歌姫だが、五条は珍しく真面目に返した。
「実質 あの帳はもう完成してる。視覚効果より術式効果を優先してあるみたいだ」
つまり、駆けつけたところですでに手遅れと言うわけか。
帳の境目にやって来て、先ほどの真面目な空気とは反対に、五条は軽い足取りで帳に近づく。
「まぁ、下りたところで破りゃいい話でしょ」
躊躇うことなく五条は帳に手を伸ばした。
――バチッ!
伸ばした五条の手が弾かれる。
「ご、五条先生! 大丈夫ですか⁉︎」
「ヘーキ ヘーキ」
軽い調子で返すも、五条は訝しげに眉を寄せていた。
順平は何となく気になって、恐る恐る帳に手を伸ばす。
ソッと指先が触れると、順平の手は弾かれることなく黒い幕の中に飲み込まれていった。
「あ、え……?」
間の抜けた声と共に、順平は驚きから反射的に腕を引く。
そんな順平の様子を見て、歌姫がバッと勢いよく帳に手を突っ込む――と、彼女の腕は肘の半ばまで無抵抗に飲み込まれた。
「ちょっと、なんでアンタが弾かれて、私たちが入れんのよ」
戸惑いを滲ませる歌姫に、五条は「なるほど」と口角を上げた。