第19章 それぞれの想いが奏でるカノン【京都姉妹校交流会―団体戦―】
「……許さない」
「加茂さん。アンタら、虎杖を殺すつもりですか?」
「その通りだ……と言ったら?」
平然と言ってのける加茂に、詞織は小さく嗤った。
「でも、失敗したんでしょ? ユージは強いもの。こんな短時間でやられるわけがない」
「へぇ〜? 随分と信頼してんだ。妬けちゃうなぁ」
示し合わせたわけでもないが、詞織たちは揃って距離をとり、武器を構える。
「我々には殺す理由がない」
「あんだろ。上や御三家ならいくらでも」
御三家の一角である禪院の直系である真希、その血筋を引く伏黒、上から疎ましく思われている特級被呪者の詞織。
くしくも、その上や御三家と因縁を持つ三人には、京都校が虎杖を殺そうと目論む理由を察することができた。
少なくとも、「理由がない」などという嘘は通じない。
ジリジリと緊迫した空気を纏う彼らを、少し離れた木の上から、一羽のカラスが見下ろしていた。
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