第19章 それぞれの想いが奏でるカノン【京都姉妹校交流会―団体戦―】
虎杖と分かれた場所の近くまで来て、詞織はピリピリとした空気を感じた。戦闘音が響き、遠目でも虎杖が囲まれているのが見える。
しかし、どういう戦況になったのかは分からないが、京都校は引き上げて行ったようだ。
「退いたようだな。先回りするぞ」
真希の指示に従い、虎杖のいた方ではなく、京都校が去って行った方へ向かう。そこで、詞織は視線を感じて見上げた。
「メグ」
澄み渡る青空を背景に、箒に乗った少女がいる。おそらく、伏黒やパンダのような索敵担当なのだろう。
詞織の呼びかけに、伏黒は黙って応じた。手で翼の形を作り、式神を呼び出す。
「落とせ」
短い命令に、鵺が電気を纏った翼で少女――西宮 桃を叩き落とした。回避行動を取る間もなく森へ落下する桃に気づいたのか。
「真依、メカ丸、西宮のカバー」
少し離れた場所から加茂の指示が響く。
やがて、森の木々の間を抜けて現れた三人に、詞織たちは武器を向けた。
真希は槍を旋回させて三輪に突きつけ、伏黒はトンファーを加茂に打ち込み、詞織は袖口から出した短剣で垂水に斬りかかる。
キンッと武器がぶつかり合う音が響いた。詞織たちの攻撃は、三輪の刀、加茂の弓、垂水が呪術で生み出した水流に防がれる。