第19章 それぞれの想いが奏でるカノン【京都姉妹校交流会―団体戦―】
「京都校(アイツら)、虎杖を殺すつもりじゃないですか?」
「……あり得るな。顔合わせでそこまで敵意は感じなかったが、あれは悠仁が生存していることを知らされる前だった」
「……楽巌寺学長の指示なら、確かにあり得るかも」
彼は保守派筆頭。呪霊を身に宿す人間を人間とは考えず、むしろ激しく嫌悪している。
もちろん、詩音を身に宿す詞織のことも例外ではない。
「オマエらやあたしたちには悠仁と過ごした時間がある。少し一緒にいれば分かるが、ありゃあ、今どき珍しいくらいの根明だ。だが、アイツを知らない人間からすれば、宿儺の器なんて恐怖の対象でしかねぇ。呪霊を祓う感覚で殺そうとしてくんだろうな」
「呪術師はその辺の境界が曖昧だから」
真希の言葉に神妙な顔で頷くと、彼女は長槍を肩に担いで踵を返した。
「戻るぞ、恵、詞織」
「え……?」
「……いいんですか?」
目を丸くする二人に、真希は「バカ」と悪態を吐く。
「仲間が死んだら交流会も勝ち負けもねぇだろ」
「……すみません」
「ありがとう、真希さん」
「だから、謝罪も礼もいらねぇって。とっとと行くぞ」
少しだけ照れくさそうに言う真希に、詞織は伏黒と顔を見合わせ、後を追った。
「……?」
どこかで微かに振動音が聞こえるが、おそらく気のせいだろう。
それよりも急がなければ。
詞織は伏黒や真希に遅れないように足を動かした。
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