第19章 それぞれの想いが奏でるカノン【京都姉妹校交流会―団体戦―】
「いよぉーし! 全員いるな‼ まとめてかかってこい‼」
瞬間――虎杖が動いた。東堂に飛び掛かって頭を掴み、膝蹴りを食らわせる。
「散れ‼」
真希の言葉を合図にして、全員が手筈通りに二手に分かれて散開した。詞織は伏黒、真希と共に木々の間を走る。
「東堂 一人だったな」
「あんなのと戦うなんて……ムリ。死ぬ」
「やっぱ、悠仁に変えて正解だったな」
そんな会話をしながら、三人は森の中央へ向かった。
伏黒班はボス呪霊の討伐、パンダ班はザコ呪霊を祓って点を稼ぐという作戦だ。もちろん、真依や垂水が妨害してくる可能性も考慮してある。
だからこそ、詞織と真希を同じ班にし、パンダ班は京都校メンバーと確執がなく、自由に動けるメンバーが選抜された。
不意に、伏黒がゆっくりとペースを落として立ち止まる。
「どうしたの、メグ?」
すると、伏黒は詞織に答えることなく真希へ視線を向けた。
「変です」
「変? 何がだ?」
聞き返された伏黒は、一度 玉犬と視線を交わし、来た道の向こう側を探るように見つめる。
「京都校がまとまって移動しています。ちょうど……虎杖と分かれた辺りです。人数的に見ても、京都校のメンバー全員が揃っている可能性があります」
「それって、二級呪霊がそっちにいるとか、そういうこと?」
詞織の言葉に、伏黒はゆるゆると首を振る。
「二級なら、よっぽど狡猾じゃない限り、玉犬が気づく」
「そうだよね……」
肯定するようにして、玉犬が「ワフッ」と鳴いた。
「なんか……イヤな予感がする……すごく……」
伏黒の言葉に、耳の奥で警鐘が鳴り出す。きっと、その嫌な予感は伏黒も抱いているものだろう。
彼は表情を険しくして、低い声音で慎重に言葉を紡いだ。