第19章 それぞれの想いが奏でるカノン【京都姉妹校交流会―団体戦―】
「開始一分前でーす。では、ここで歌姫先生にありがたーい激励の言葉を頂きます」
唐突に始まった五条の悪ふざけに、歌姫が「はぁ⁉︎」と声を上げた。
振られたからには何か言わなければと思ったのだろう。渡されたマイクを受け取り、歌姫はしどろもどろに口を開いた。
「え……えーっと。あー……ある程度の怪我は仕方ないですが……そのぉ……時々は助け合い的なアレが……」
「時間でーす」
バカ真面目に応じていた歌姫を遮る五条に、彼女がキレる。なんとなくそうなる予感はしていたが。
まるで子どものようなやり取りを、無の心境で順平は眺めていた。
やがて、歌姫の攻撃をすべて避け切った五条が、「それでは!」と声高らかに宣言する。
「姉妹校交流会――……スタァートォ‼」
「先輩を敬え! ピーガガッ」
ノイズ混じりの開始宣言に、画面の向こう側で生徒たちが動き出した。
イマイチ締まらないなぁ、などと思いつつ、歌姫の攻撃を避け切った五条には感心する。
改めて、めちゃくちゃ強い人なのだと認識した。性格はかなり微妙だけど。
二手に分かれた虎杖たちを見守りつつ、順平はジョシュアを抱え込む腕に力を込めた。
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