第19章 それぞれの想いが奏でるカノン【京都姉妹校交流会―団体戦―】
「その子は私が作った呪骸。名前はジョシュアだ」
「はぁ……?」
なぜそんなものが渡されるのか。
どういうリアクションをすればいいのか分からず戸惑っていると、五条がニヤリと口角を上げた。
「みんなが頑張ってるのにただ応援してるだけじゃ、気が引けちゃうでしょ。そこで、順平には応援しながら呪力のコントロールを学んでもらう。ちなみに、このトレーニングの効果は悠仁も体感済みだよ」
「へぇ……アダッ⁉︎」
唐突にジョシュアが顎を殴りつけてきた。涙目で顎をさすっていると、五条がジョシュアの頭を片手で掴む。
「コイツは常に一定量の呪力を流さないと攻撃するようになっている。つまり、何が起きても呪力を均衡に保ち続けるトレーニングになるってことさ」
「悟、あまりジョシュアを乱雑に扱うな」
五条からジョシュアを取り上げ、夜蛾が順平に再び手渡した。
恐る恐る受け取ると、ジョシュアの目がキラッと光る。
慌てて呪力を流そうとするが間に合わず、早々に二発目の拳を受けてしまった。
「まぁ、頑張って」
「五条、そろそろ始まるわよ」
歌姫の言葉を合図に、モニター画面へ映像が映し出される。鮮やかな新緑の木々が生い茂る森の中で、東京校と京都校のメンバーが待機していた。
順平が懸命にジョシュアを抱えて呪力を流すのに集中していると、五条がマイクを取る。