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夢幻泡影【呪術廻戦/伏黒 恵オチ】

第19章 それぞれの想いが奏でるカノン【京都姉妹校交流会―団体戦―】


「はい、ここが観覧席だよー」

 五条に連れられ、順平は緊張と共に室内を見渡した。
 中は十畳ほどの、どちらかといえば和室に近い造り。しかし、そんな和の雰囲気も、一面の壁に設置された大きな七つのモニターがぶち壊している。

 室内にはすでに、順平と五条以外の全員が揃っていた。
 京都校の学長である楽巌寺、引率教師の歌姫、そして東京校の学長である夜蛾。そして、もう一人は見かけない女性だ。
 薄い色の長い髪と長身でグラマラスな体型は、大人の色香を放っている。

「彼女とは初めてだよね。呪術師の冥さんだよ」

「よろしく、坊や」


 ―― 一級呪術師 冥冥


 冥冥は無所属の呪術師で、鳥を操ることができるらしく、共有した視覚をモニター映像に映し出してくれるらしい。
 呪術ってなんでもありなんだな。単純にすごい。

 よろしくお願いします、と頭を下げて順平も自己紹介をする。
 五条に促されて椅子に座ろうとして、夜蛾と目が合った。

「数日ぶりだな。上手くやれそうか?」

「は、はい!」

 何となく緊張し、つっかえながら短く返事をすると、夜蛾は「そうか」と言って人形を渡してくる。
 どこかこちらを舐めたような顔のクマの人形だ。そこそこの大きさがあり、両腕ですっぽりと抱えられる。
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