• テキストサイズ

夢幻泡影【呪術廻戦/伏黒 恵オチ】

第18章 吉野 順平のソロ【番外編】


「不合格だ」

 夜蛾が手を広げた先で、カッパの人形が意思を持ったように起き上がった。

「な、なんで……⁉︎」

「【呪骸(じゅがい)】――私の呪いが篭った人形だ」

 カッパの人形が大きく飛び、拳を打ち据えてくる。

「【澱月(おりづき)】!」

 慌てて澱月を呼び出して盾とするが、柔らかな身体では衝撃を受け止めきれず、一緒に弾き飛ばされてしまった。

「うわぁ⁉︎」

 ガンッと強かに壁へ身体を打ちつけてしまう。ジンジンと痛む身体を無理やり起こす。
 ちらりと五条へ視線を向けたが、愉しそうに唇が弧を描いているだけで、当然のことながら助けてくれる気配はない。

「窮地にこそ人間の本音は出るものだ。納得のいく答えが聞けるまで攻撃は続くぞ」

「ぼ、僕は……」

 何か言わなければと口を開くものの、その先を続けることはできなかった。
 さらに追い打ちをかけるようにして、カッパが攻撃をしかけてくる。

「呪術師は常に死と隣り合わせ。目的のない復讐に囚われては早死にするだけだ」

「それでも! それでも僕は、母さんを殺した呪詛師が許せない! 僕は母さんのために……!」

 澱月の鋭い触手がしなり、カッパを弾き飛ばした。
 柔らかい身体が床に叩きつけられたが、まるでピンポン玉のように床から壁へと弾くと、そのまま順平めがけて頭突きを放つ。

 澱月のガードも間に合わず、その勢いのままに順平は吹き飛ばされてしまった。

「ガハッ!」

 相手は人形……痛みも感じなければ怯むこともないのだ。
/ 381ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp