第17章 開幕のファンファーレ【反省】
「えー……ダル〜」
欠伸をする垂水を他所に、桃が手を上げて待ったをかけた。
「虎杖くんと狗巻くんが一緒にいたらどうするの? 呪言師を前にガン首 揃えるのは少しリスキーだよ。最悪、一網打尽にされちゃうんじゃ」
「たしかにナ……」
頷くメカ丸だったが、垂水が小さく笑う。
「呪言なんて、来るって分かってれば平気さ。呪力で耳をガードすれば防げるよ」
なるほど、その手があったか。
どんなに腐った変態でも一級呪術師。踏んできた場数が違う。
「真希はあたしにやらせて。できれば、茶髪の一年も」
「その発言、東堂や垂水と同レベルだよ」
加茂の返しに、真依はあからさまに渋い顔で睨みつける。
「何、マイマイのその顔。オモロー」
「垂水先輩、マイマイは止めてって言ってるでしょ」
「カワイーからいいじゃん。ねぇ、モモチー、三輪ちゃん?」
え、そこで振ってくるのヤメテ。
「えー……まぁ……?」
「モモチーはイヤ」
曖昧に濁そうとする三輪に対し、桃はキッパリと拒否を示す。
「センスのないヤツら。カワイソー」
「センスがあると思っているお前の方が可哀想だ」
ポツリと呟いた加茂の言葉は聞こえたのか、それとも聞こえなかったのか。
垂水は手のひらから呪術で水を出しながら弄び始めていた。
* * *