第17章 開幕のファンファーレ【反省】
「東堂先輩のことはどうします? あの様子じゃ作戦行動なんて無理ですよね。私、あの人に殺されたくないですよ」
三輪が手を上げて発言すると、桃は箒の藁を弄りながら淡々とした声音で、「いいんじゃないかな」と言葉を紡いだ。
「どうせアイツ、東京陣営まっしぐらだもん。勝手に暴れてくれるなら、私たちは呪霊狩り(ゲーム)に専念すれば」
「でも、私たちは虎杖 悠仁を殺さなきゃいけないでしょ。東堂先輩、殺すまでやらないんじゃない? やりそうではあるけど」
マジでやるのか。
桃に続く真依の言葉に、三輪はガックリと肩を落とした。
「そうなると、東堂を監視し、虎杖 悠仁にトドメを刺す役が必要だナ」
自分は絶対ゴメンだ。できれば、呪霊の方に行かせてくれ。
「どうすんの、加茂っち。呪霊の相手もあるし……二人一組(ツーマンセル)で行くのはいいとして、虎杖の相手は誰がやんの? ボクは詞織ちゃんの相手があるからヤだけど」
自由すぎるだろ。自分だってやりたくないのに。
この流れで自分も拒否を示しておこうかな。
「あの、私も……」
手を上げようとして、加茂は「いや」と首を振る。
「呪いの王である両面宿儺を身に宿す虎杖 悠仁の存在は由々しき事態だ。交流会以前の問題。加茂家嫡流として見過ごせん。京都校(わたしたち)全員で、奴を襲撃する」
一同をぐるりと見渡し、加茂は張りのある声で宣言した。
もう、悲しくて涙が出そう。