第17章 開幕のファンファーレ【反省】
「十一時からの散歩番組に高田ちゃんがゲスト出演する。これ以上 説明いるか?」
「録画すればいい」
すると、東堂は血走った目で加茂を睨みつけた。
「リアタイと録画 両方 観んだよ。ナメてんのか?」
唸るような声が空気を震わせ、ピリピリとした殺気に肌が粟立つ。
こんなことで殺気を放つなど、この男はどうかしているのではないか?
呆れてものも言えない一堂を見渡し、東堂はよく通る声で「よく聞け」と言った。
「いいか、オマエら。女の趣味の悪いオマエらには、とうの昔に失望している。垂水はまだマシな方だがな」
「そりゃ、どうも」
合いの手を入れる垂水を無視し、東堂は続ける。
「謀略・策略、好きにやれよ。ただし、次 俺に指図してみろ――殺すぞ」
そう言い残し、東堂はドスドスと荒々しく足音を立てながら去って行った。それを黙って見送っていた一同の中で、楽巌寺が深いため息を吐く。
「フンッ、餓鬼が。東堂のことなど、最初から当てにはしておらん。加茂、指揮はお主に任せる。しっかり殺せ」
「はい」
頷く加茂に楽巌寺は一息吐くと、「そういえば」と呟いた。
「東京校には神ノ原の小娘もおったな。呪霊に憑かれながら呪術師を名乗る不届き者よ」
忌々しそうに吐き捨てた楽巌寺は、フンッと一つ鼻を鳴らす。
「ついでだ。あの小娘も始末しろ。呪術師を名乗れなくなればそれで良い。生死は問わん。あの小娘の術式ならば、喉を潰してしまえば呪術師としては終いだ」
確実に殺す必要はない、ということか。
良心は痛むが、虎杖 悠仁を殺すよりはマシか。
すると、再びブワッと殺気が放たれる。発生源は垂水 清貴だ。