第17章 開幕のファンファーレ【反省】
「早く言えよ!」
「は、はい! クラゲです!」
順平の術式は、クラゲの姿をした澱月を使役する能力。
澱月は毒を分泌・生成することができ、それを主軸とした戦闘スタイルだ。
「クラゲじゃ、索敵はできそうにねぇし、火力も微妙だな。何か使えそうだったら悠仁と交代で参加させようと思ったが……やっぱオマエは見学な」
理不尽。
しかし、舌打ちする真希が怖くて言えなかった。
そこへ、詞織の隣で腕の関節を伸ばしながら、伏黒が口を開く。
「吉野のことは全く分かりませんが、虎杖のことならまぁまぁ分かります。 東京校・京都校全員が"呪力なし"で闘(や)り合ったら、虎杖の圧勝です」
キッパリと断言する伏黒に、二年生たちが目を丸くした。
順平も驚いている。
伏黒という人間には会ったばかりだが、憶測でここまで断言するようには見えない。
京都校には体格の大きな、およそ高校生とは思えない男子生徒がいた。
ぱっと見、腕っぷしが強そうに思えたし、それは自分より伏黒の方がよく知っているだろう。
それを踏まえた上で、「"呪力なし"ならば虎杖の方が強い」と言い切ったのだ。
伏黒の発言に、真希が口角を上げる。
「面白ぇ。実際に東堂と闘(や)り合ったオマエが言うんなら、そうなんだろうな」
真希は少し考える仕草をし、「よし」と呟いた。
どうやら、作戦リーダーは真希のようだ。
「東堂は確実に直であたしたちを潰しに来る。真依もあたし狙い、垂水は詞織狙いで便乗してくるかもな」
真希の推測に、伏黒と詞織は揃って渋い表情をした。
「東堂は化け物だ。全員で相手にして全滅する可能性もある」
マジ? そんなに強いの、東堂って。
伏黒は実際に戦ったと言っていたが、よく生きてるな。