第17章 開幕のファンファーレ【反省】
やがて、真面目に団体戦の作戦会議が始まった。
「で、どうするよ。団体戦形式は、まぁ予想通りとして。メンバーが増えちまった。作戦変更か? 時間ねぇぞ」
「おかか」
パンダと狗巻の言葉に、真希は考える仕草をしつつ、虎杖へ視線を無ける。
「そりゃ、悠仁次第だろ。何ができるんだ?」
「殴る、蹴る」
虎杖の簡潔で分かりやすい回答。
実際に戦ってみて分かったことだが、虎杖の武器は、人間離れした身体能力と強靭的な肉体、そして生まれ持った戦闘センスだ。
呪術師として戦いに足を踏み入れたのは最近だと言っていたが、そこに戦闘経験を加えれば、もはや敵などいなくなるのではないか。
そんな考えを巡らす順平とは反対に、「そういうのは間に合ってんだよなぁ……」とパンダが零す。
そういえば、先ほど詞織が、「パンダくんは肉弾戦専門」と言っていた。つまり、パワータイプは間に合っているということか。
「おい、順平。オマエは何ができる?」
「えぇ⁉︎ ぼ、僕⁉︎」
唐突に真希に尋ねられ、順平はすぐに答えられなかった。
まさか自分に声がかかるとは思わなかったのだ。
「ぼ、僕は今回、見学だから……」
京都校のメンバーを思い出す。
強いとか弱いとか以前に、戦うということに恐怖を感じる。
虎杖を相手にしたときは頭に血が昇っていた。
母親を殺されたショックで、復讐以外に何も考えられず、無我夢中で邪魔する者を排除しようとしていた。
つまり、冷静にただ目の前の相手と向き合って戦ったことがなければ、平常心で呪術を人間に向けたこともないのだ。
「ンなことは分かってる。いいから言えよ。悟が式神使いだって言ってたな。何 出せンだ? 虎か? 狼か? それとも龍か?」
そんな猛獣ではないのだが。
龍に関しては、それが出せたらカッコいいな、と思ってしまう。
どうしよう……何か期待されているようだが……そんな大層なものではないのだが……。