第17章 開幕のファンファーレ【反省】
「へぇ、よかったじゃん! いつから?」
年頃の高校生といえば、人の恋愛話が好きだ。
自分はそうでもないと思っていたが、ついつい聞き耳を立ててしまう。
「オマエが死んだ日」
「ユージが死んだ日」
驚きの回答に、虎杖は「え?」と固まった。
「俺が死んだ日? 別に死んでねぇし。いや、死んだか。そもそも、どういう理屈でそうなったの?」
そこは順平も少し気になる。
だが、二人は「色々あった」と言うだけで答えてはくれなかった。残念。
「まぁまぁ! 青春は楽しんでナンボだぜ! 呪術師だってさ!」
――東京校二年 準二級呪術師 パンダ
「しゃけしゃけ」
――東京校二年 準一級呪術師 狗巻 棘
「パンダ先輩、何で喋れンの? 狗巻先輩にいたっては、何言ってんのか分かんないんスけど」
うんうん、と虎杖の隣で順平も同意を示す。
「パンダくんは学長の夜蛾先生が作った呪骸。突然変異で意思を持つようになった。基本はユージと同じ肉弾戦専門」
「狗巻先輩は呪言師だ。言霊の増幅・強制の術式だからな。安全を考慮して、語彙搾ってんだよ」
「そ、それって……『死ね』って言ったら、相手が死んじゃうってこと?」
もしそんなチカラがあったなら、これまで自分をイジメていた奴ら全員を、自分は殺しているだろう。
母を死なせた呪詛師だって、簡単にどうにかしてしまえる。
「マジ? それ最強じゃん」
順平の言葉に目を丸くする虎杖。
だが、パンダは否定するようにしてゆるゆると首を振った。