第17章 開幕のファンファーレ【反省】
――東京校サイド ミーティング
順平は遺影の額縁を持って座る虎杖を哀れに見つめていた。
見学である順平が作戦会議へ参加する意味はないのだが、五条から東京校のメンバーとできるだけ会話し、親睦を深めておくように言われている。
順平は改めて室内にいる東京校のメンバーを見渡した。
「あのぉ〜、これは……見方によってはとてもハードなイジメなのでは……?」
「うるせぇ。しばらくそうしてろ」
――東京校一年 三級呪術師 釘崎 野薔薇
釘崎は虎杖の要求を乱暴に切り捨て、フンッと鼻を鳴らした。正直に言って、苦手なタイプである。
室内の壁際では、伏黒と詞織が並んで座っていた。
詞織は虎杖が生きていた衝撃が冷めやらないのか、大きな夜色の目元はまだ少しだけ赤い。
「詞織、落ち着いたか」
――東京校一年 二級呪術師 伏黒 恵
「ヘーキ。もう落ち着いてる」
――東京校一年 二級呪術師 神ノ原 詞織
二人の近い距離感に、もしかしたらつき合っているのだろうか、と勘繰ってしまう。もちろん、出会って数時間の自分に確認する度胸はないが。
「何か……伏黒と詞織、前と雰囲気違くない? つき合ってんの?」
ストレートに質問を投げる虎杖に、聞かれたわけでもないのに順平の心臓が跳ねた。
おっと、それを本人たちに直接聞くのか?
せめて、オブラートに包んだ方がいいのでは?
「つき合ってる」
照れた様子もなく伏黒が肯定する。
その隣にいる詞織からも、気恥ずかしさは感じられなかった。