第17章 開幕のファンファーレ【反省】
「京都校の人たちって仲が悪いの?」
「さぁな」
京都校のメンバーに対してそこまでの興味がない。
加茂と垂水の間に緊迫した空気が漂う中、カツカツと足音を鳴らし、顔に大きな傷を持った巫女服姿の女性が手を打った。
「はーい。内輪で喧嘩しない。まったく、この子らは」
――京都校引率教師 準一級呪術師 庵 歌姫
ぐるりと東京校のメンバーを見渡し、歌姫はギュッと眉を寄せる。
「で、あの馬鹿は?」
「悟は遅刻だ」
「悟(バカ)が時間通りに来るわけねぇだろ」
「五条先生の遅刻も予定に入れないと、後々で響く」
「誰もバカが五条先生のこととは言ってませんよ」
当然のように答えるパンダ、真希、詞織にそう言うが、伏黒自身、「バカ=五条」ということは分かっていた。
そこへ、ガラガラと台車を押す音と共に何かが迫ってきた。
「おまたー‼︎」
東京校の生徒を押しのけてやってきた五条は、手押しのカートに大きめの箱、その上に不気味な人形を乗せている。
「五条 悟‼︎」
軽く舌打ちする歌姫の隣では、三輪が目を輝かせる。
呪術界で五条の名前を知らない者はいない。中には、ファンのような者もいるくらいだ。おそらく、それだろう。
「やぁやぁ、皆さんお揃いで。私、出張で海外にいましてね」
急に語り出した五条の後ろには、高専の制服を着た見覚えのない男子生徒が、ビクビクと身を縮こまらせていた。
前髪の長いその少年は、人見知りなのか。京都校のメンバーへ何かを配り出した五条の後ろをくっついている。