第17章 開幕のファンファーレ【反省】
「あら、お出迎え? 気色悪い」
――京都校二年 三級呪術師 禪院 真依
「乙骨いねぇじゃん」
――京都校三年 一級呪術師 東堂 葵
「乙骨クンがいないのは残念だけど、詞織ちゃんがいるならいいか」
――京都校三年 一級呪術師 垂水 清貴
「うるせぇ。早く菓子折り出せコラ。八ツ橋、くずきり、そばぼうろ」
「しゃけ」
釘崎に続く狗巻の言葉に、東堂が「腹減ってんのか?」と首を傾げる。
伏黒としては、東京校の恥をさらさないでほしいのだが。
「怖……」
――京都校三年 二級呪術師 西宮 桃
「乙骨がいないのはいいとしテ、一年三人はハンデが過ぎないカ?」
――京都校二年 準一級呪術師 究極(アルティメット) メカ丸
「すごい……ロボットだ。あのロボットも呪術師?」
「うちのパンダも呪術師だろ」
小声ではしゃぐ詞織に伏黒が言うと、彼女は「そっか」と納得する。
「呪術師に歳は関係ないよ」
――京都校三年 準一級呪術師 加茂 憲紀
加茂の視線がこちらへ向き、伏黒はそれとなく詞織を背後に庇った。
「伏黒君と神ノ原君は一年生ながらにして、すでに二級呪術師だ。伏黒君は禪院家の血筋で、宗家より余程出来がいい。神ノ原君も特級被呪者とはいえ、神ノ原家の人間としての実力は本物だ」
加茂の話に真依は「チッ」と低く舌打ちをする。
「まぁまぁ」
――京都校二年 三級呪術師 三輪 霞
「加茂っち、詞織ちゃんのこと褒めすぎじゃない? 狙ってんの? ボクの詞織ちゃん」
「どうしてそんな話になるんだ?」
「怪し〜」
さも当然のように「ボクの詞織」と言っているが、「俺の詞織」である。
だが、そんなこと言わずとも、詞織本人はしっかり認識しているはずなので、あえて言わずにおく。
詞織はというと、伏黒の隣で欠伸を噛み殺していた。