第17章 開幕のファンファーレ【反省】
「もしかして、ここまで引っ張っておいて普通に登場するつもり?」
「え、違うの⁉︎」
何をさせるつもりなのか。
嫌な予感を覚えつつも、五条は自分が止めたところで止まらない。
「死んでた仲間が二ヶ月後に実は生きてましたなんて、術師やっててもそうないよ。やるでしょ、サプライズ!」
サプライズ? この男はいったい何を言っているんだ?
五条の勢いに、順平も若干引き気味である。
「ま、僕に任せてよ。一年は嬉しさと驚きで泣き笑い、二年も京都校ももらい泣き、嗚咽のあまりゲロを吐く者も現れ、最終的に地球温暖化も解決する」
馬鹿な。そんなことがあるわけないだろう。
さすがの虎杖も、そこまで単純では――……。
「イイネ!」
虎杖は単純だった。
「何したらいい⁉︎ 先生、俺 何したらいい⁉︎」
「何もしなくていい! 僕の言う通りにしろ!」
「だから、何したらいい⁉︎」
はしゃぐ虎杖と五条に小さくため息を吐く星也へ、順平が声を潜めながら声を掛けてくる。
「星也さん、二人を止めなくていいんですか? 絶対 ロクなことになりませんよ」
「もう止められないよ。あの二人には、もう僕たちの声は聞こえないだろうからね。吉野くん、二人のことは任せたよ。僕は次の任務があるから」
「む、無理ですよ、そんなの!」
「大丈夫。どうしようもないときは、詞織や恵に協力してもらうといい。こういうのに慣れてるはずだから」
「え~……まだ、会ってないんですけど……」
不安げな顔をする順平を残し、星也は巻き込まれないよう、さっさと部屋を後にすることにした。
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