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夢幻泡影【呪術廻戦/伏黒 恵オチ】

第17章 開幕のファンファーレ【反省】


「重めの任務をいくつかこなしてもらおうって振ったけどさぁ……『重め』ってそういう意味じゃなかったんだけどなぁ」

 まさか、これほどの事態に直面するとは誰も思わなかったかことだろう。

 星也自身、裏であれほど強大な力を持った特級呪霊が控えているなど考えもしなかった。

「例の特級呪霊、逃がしちゃったんだっけ? 珍しいね、オマエが祓いきれないなんて」

「すみません。【騰蛇】や【勾陣】にも命じましたが、追いきれなかったみたいで」

 この二体は恐怖や戦闘を司り、戦いに特化した式神だ。単独で特級呪霊を祓えるほどの実力を持つ。
 その分、細かく考えるのは不得手。特に【騰蛇】は視野がやや狭い。

 近場にいた【玄武】と【天后】に加え、確実に祓えるように彼らも追跡に加えたのだが……相手の方が一枚上手(うわて)だったようだ。

 式神の失態は己の力不足。
 あの呪霊は祓っておかなければどんどん彼の実験の被害者が増えることだろう。本当に申し訳ない。

「ま、いいや。順平の家にあった指について二人に――……」

「言ってませんよ。悠仁に不要な責任を感じさせたくありませんし。吉野くんにも呪物であるということしか伝えていません」

 いずれ知ることになるかもしれないが、一度に多くのことを伝えては混乱するだけだろう。

 母の死と、慕っていた者に殺されかけた事実。
 それだけで絶望を感じるには充分すぎる。

「オマエに任せてよかったよ。で、指は?」

「提出済みです。先生に渡したら、悠仁に食べさせるでしょう?」

 チッと舌打ちする五条を見るに、図星のようだ。

「あっ、先生―! 早く皆のとこ行こうぜ! 順平を紹介したいんだ! あ、星也さんもいるー」

「ま、待ってよ、虎杖くん! 僕、まだ心の準備が……学校はずっと休んでたし……友達もいなかったし……」

 虎杖に引っ張られる形で順平もやって来る。

 高専の学ランに身を包んだ二人。
 不安に眉を下げる順平とは反対に、虎杖の目はキラキラと輝いてた。
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